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特集記事

 工房Miyaの作品の周辺情報などをお届けします


漆かぶれ−私の場合

(2007年2月22日)

漆を扱う人、漆器を作る人たちは、それぞれに漆かぶれを克服するストーリーがあったと思います。(ただし、全くかぶれない人たちも一部にはいらっしゃるそうです)

乾燥前の漆は粘性の高い液状なのですが、それに触れると多くの人はかぶれてしまいます(たまに全くかぶれない人もいるようなのですが、うらやましいです)。かぶれに伴う痒(かゆ)みが激しくて漆をあきらめてしまう人もいると聞きます。

私の場合、最初に漆に触ったときはかぶれませんでした。漆に全くかぶれない人もいるので僕もそうなのかなと思って安心していたら、漆をはじめて1ヶ月後くらいに、どっとかぶれが来ました。それからは痒くて、夜も寝ながら手や足をかいている始末でした。顔もちょっと腫れました(顔については思ったほどひどくならなかったのでそこは助かりました)。特に、指の間や手首がひどく、手の先、手のひら、足首周辺、そしてその他体のあちこちに広がってしまいました。病院に行って見てもらって(おそらく)ステロイド系の塗り薬をもらったのですが、これも一時的な効果しかないらしいです。お医者さんも、漆をずっと続けるのであれば結局このかゆみを乗り越えるしかない、というようなことを言われていました。哀れむような目で見られていたような気がします・・・

皮膚が乾燥してしまうと痒みがひどくなることがわかったので、薄い木綿の手袋を常時はめるようにすると少しかゆみが緩和しました。しかし、あいかわらず痒みはおさまらず、夜寝ながらかいてしまうために朝、傷になってしまっていたりと、状態はあまりよくなりませんでした。しょうがないので、しばらく漆を休んで他の木工作品に専念していました。すると、幸いなことにだんだんと痒みは収まりました。収まったころに、漆を再開してみたところ、かぶれが前ほどではなくなっていました。その後は、しばらくマイペースで漆を続け、漆体験1年目が終わりました。

2年目もそんなにひどくはないものの、局所的にかぶれが出たりなおったりを繰り返していました。しかし、漆仕上げのスプーンをもっとたくさん作ろうと決心し、漆作業の頻度を上げたとたん、またかぶれがひどくなってしまいました。だけどこのときは病院に行かず、ひたすらがまんして、毎日作業していました。すると、数週間後には体が慣れていったのか、かぶれがだんだんと収まってきました。これで本当にかぶれを克服したんだな、と感無量(?)でした。

その後、ある事情で漆を中断してしまいました。するとまた漆を扱ったときに少しかぶれてしまいました。がっかりしたのですが、今度はしばらく作業を続けていると自然とかぶれも消えてしまいました。今は、たまに局所的に少しだけかゆくなることもありますが、ほどんどかぶれることはありません。

このようにして、私は2年越しで漆のかぶれを克服しました。

工房Miyaでは生漆を使っています。生漆は、木から採集したままの漆液からゴミなどの異物を濾過し取り除いたものです。精製した漆よりも乾燥しやすく皮膜もより強いのですが、乾燥前はよりかぶれやすいそうです。
チューブから出したときは乳白色に近いのですが、空気にあたるとだんだんと茶色になってきます。
(2006年12月7日のブログ記事を修正したものです)