トップページへ トップページへ
トップページへ

特集記事

 当工房の作品の周辺情報などをお届けします


<過去の記事>
1.カヤ(榧)の木と碁盤(2006年5月24日)
2.漆かぶれ−私の場合(2007年2月22日)
3.スプーンとフォークでピラフを食べる(2007年3月10日)
4.杢(もく)と楓(カエデ)について



※ 現在は、ブログで木工制作の過程などを紹介していますので、こちらをご覧ください。
木と漆の工房みやくに ブログ




杢(もく)と楓(カエデ)について

(2007年4月8日)

杢(もく)とは、木の細胞や組織の異常な配列などにより材面に現れた特殊な木目(木理)のことです。ある程度規則的な普通の木目と違い、不規則で不思議な模様となっています。その美しさのため装飾性や工芸的な価値があるのです。

杢をつくり出す木の細胞や組織の異常な配列は、主に次のような条件のもとで生じます。 ・生長時に菌または虫害などによって瘤(こぶ)ができたとき
・木が季節的な風水害、異常な天候の激変などによって不規則な生長を余儀なくされたとき
・木の根元のとくに曲がって張り出した部分

杢の模様がついたカエデ(楓)のスプーン・フォーク

※ カエデは英語でメイプル(Maple)と呼びます
杢の種類にもいろいろあります。 波状杢(はじょうもく):縮み杢、バイオリン杢、ちりめん杢とも呼ばれます。木の繊維が波のようにうねっているため、見る方向によって波が動くように輝きます。バイオリンなどの裏板や家具の装飾材として珍重されます。
鳥眼杢(ちょうがんもく):鳥の目のような模様を表す杢です。カエデ(楓)の木に出やすくバーズアイ・メイプルと呼ばれています。
泡杢(あわもく):水泡状の丸い輪郭をもつ模様で、泡立つように見えます。
玉(珠)杢(たまもく):瘤杢(こぶもく)。瘤は組織の中に病的にできるものですが、それを挽き割ると変化に富んだ杢となります。
・・・他にも様々な杢の種類があります。詳しくは、府中家具のウェブサイトにある杢の種類のページ
(URLは、http://www.fuchu.or.jp/~kagu/siryo/moku.htm)をご参考になると良いと思います。
当工房にストックされているカエデ(国産のカエデです)の木にもきれいな杢があります。板の表面は平らなのに、まるで凸凹がついているように見えるので不思議です。見る方向によって模様が違って見えたり、消えたりします。
<波状杢>

表面にびっしりと模様がついています。

ちょっと控えめな波状杢です。

<泡杢>

ちょっと見にくいかもしれませんが・・・

板の表面は平らなんですよ!

<その他:どう分類していいのかわかりません・・・>

ぼこぼこしている樹皮に対応して、杢も不規則で複雑な模様になっています。

本当に板の表面は平らなんですよ!

残念ながら、バーズアイ・メイプルはうちにはまだありません・・・


カナダの国旗として有名なサトウカエデは、幹に傷をつけて糖分を含んだ汁を採取してメープルシロップをつくることができます。国産のイタヤカエデ(板屋楓)も幹に傷をつけると糖分を含んだ汁が採れるそうです。ただし糖分の含有量は少ないそうです。
また、バイオリンなど楽器に使われるカエデ材は主に外国産のものが多いそうです。


スポルテッド・メイプル

杢、木目とはちょっと違いますが、カエデやトチ(栃)などの緻密な木材の場合、バクテリアなどの作用(人体に悪影響があるわけではないですよ!)によって木の中に黒っぽい筋が出来てくることがあります。
詳しいプロセスはまだよく知らないのですが・・・要するに少し木が朽ちかけたものと言えばよいのでしょうか。

カエデの木にそのような模様が出来ているものはスポルテッド・メイプルと呼ばれ、模様が美しいもの(あくまで個人個人の美的感覚によりますが)はギターなどの楽器に使われているそうです。



左の写真はうちの工房にあるカエデの木の写真です。ちょっと中途半端ですが・・・この筋がきれいな模様となって広がっていればそれだけ価値が高くなるようです。
右の写真はその部分でつくったスプーンです。拭きうるし仕上げです。


バーズアイ・メイプルやらスポルテッド・メイプル・・・カエデにはいろいろな呼び名があっておもしろいですね。
そのうち、イタヤカエデの木を探して写真でも撮ってみたいです。


参考文献

『木工の鑑賞基礎知識』木内武男著、至文堂
『木材−生きている資源−』成澤潔水著、パワー社
『木材の性質と加工』山下晃功編、宮崎擴道・古野毅・井上裕之・石丸進・番匠谷薫著、開隆堂
『木と日本人』上村武著、学芸出版社